『ポケモンGO』に勝つ事はできるのか?『妖怪ウォッチワールド』戦いの厳しさ

2016年7月にリリースされ『ポケモンGO』は、世界中で大ブームを呼び起こし、沈みかけていたポケモンブランドの人気を一気に呼び戻した。ここ数年の日本では、『妖怪ウォッチ』がポケモンブランドを抑えて日本中の子どもたちからの人気を勝ち取っていたが、ポケモンの復活と共にその人気の低迷が露骨に浮き上がった。

そんな妖怪ウォッチの新たなチャレンジとして、2018年6月にAR×位置情報機能を利用した新ゲーム『妖怪ウォッチワールド』がリリースされた。『ポケモンGO』の焼き増しではないかと言われる向きもあるが、その状況も含めて考察していこう。

『ポケモンGO』の軌跡

『ポケモンGO』は累計8億ダウンロードを超えると言われており、2年の累計売上は2,000億円を超えている。今や世界中の人が知っていると言っても過言ではないだろう。どこでも場所を選ばずに遊べるスマホゲームとは異なり、AR機能と位置情報を駆使してアクティブに外を歩きまわり遊ぶというゲーム性にもかかわらず、このダウンロード数と売上を叩き出しているのは、ポケモンを本当に捕まえるという、世界観と連動した企画とテクノロジーとの融合と言えるだろう。

現在の『ポケモンGO』のゲーム性は、Googleの社内ベンチャーとして立ち上がったナイアンティック社が2012年頃から提供していた「Ingress」が基盤になっている。「Ingress」はリリース当初からコアゲーマーたちには人気があったが、誰もが知り遊ぶゲームにまでは発展しなかった。

ナイアンティック社は、より多くのユーザーにアプローチするために有名なIPをのせてはどうか?というアイデアから、2014年4月1日のGoogleがエイプリルフールに実施された「ポケモンチャンレンジ」に目をつけたのである。ポケモンチャレンジ企画もGoogleマップを利用したもので、今の『ポケモンGO』の前身とも言われている。

世界中の人を虜にするブランド「ポケモン」と、今までにはない最新テクノロジーを搭載したゲーム「Ingress」の良い化学反応から、現在のブームが引き起こされているのではないかと推測される。

『ポケモンGO』リリースから2年が過ぎた2018年に、AR×位置情報と同様の機能をベースにした『妖怪ウォッチワールド』が発表された。その現状を分析してみよう。

『妖怪ウッチワールド』のたたかい

2018年6月27日に大きな発表を行うことを発表していたのは、パズル&ドラゴンズを提供するガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社(以下、ガンホー)と、妖怪ウッチを提供する株式会社レベルファイブ(以下、レベルファイブ)であった。

YouTubeのライブ配信で始まった記者発表会では、驚きの光景があった。そこには、ガンホー森下一喜CEOと、レベルファイブ日野晃博CEOの二人が並んで登壇していたのである。業界の人間であれば、放送がスタートした瞬間に「あああっ」と気づいたのではないだろうか。両CEOはここで、AR位置情報ゲームアプリ『妖怪ウッチワールド』の共同開発及びサービス開始を発表した。

両CEOからは、「今までにない、壮大である」などの意気込みが聞こえてきたが、おそらく多くの人が、『ポケモンGO』のに似たシステムに妖怪ウッチのIPをのせたものだと感じだのではないだろうか。

『ポケモンGO』に勝つ事はできるのか?『妖怪ウォッチワールド』戦いの厳しさ2

筆者もすぐにゲームをダウンロードして開始してみた。

実際に見てみると、非常に作り込んでいて面白いゲームなのだとは感じたが、ゲームを開始した際に気になった点が2点あった。

チュートリアル動画にYouTuberは正解か!?

まず、『妖怪ウォッチワールド』は、チュートリアルに動画を利用している。これは非常にわかりやすい取り組みではあるが、登場しているのが有名YouTuberである点が少し引っかかった。非常に人気のあるYouTuberではあるが、アンチユーザーが多くいるのもまた事実。アンチユーザー達は、ゲームの面白さを知る前に、このチュートリアルのタイミングで離脱してしまうのではないだろうか。

つまり、ガンホー社とレベルファイブ社は、プロモーション費用をかけてターゲットを狭めてしまっているのである。

機能を盛り込みすぎの懸念

もう一点は、初期の時点で機能が非常に多いという点。機能を盛り込みすぎたおかげで、何をどう動かせば良いのかを理解しづらくなってしまっているのではないだろうか。

『ポケモンGO』の初期は、ポケモンを歩き捕まえる、歩いてたまごを孵化させる、育てたポケモンをジムに連れて行き戦う、というように、行動がシンプルに設定されていた。
ただでさえ、外を歩いてポケモンを探すというハードルがあるのに、これ以上増やしていたらユーザーは混乱しただろう。

この2つの点だけでも、投資した開発コストとこれからかかる運用費用、そして膨大なプロモーション費用を賄うまで成長させるには、相当の切り返しが必要なのではないだろうか。

課金のハードル

さらに、課金に関しても大きな課題になっているだろう。元祖ポケモンユーザーは既に大人になり、自分の子供がポケモンをしているような世代なので課金のハードルは低い。対して妖怪ウッチユーザーの多くは成人していないため、『ポケモンGO』ほど課金世代に刺さらない可能性が高いのだ。

そう考えると、今回のプロモーションの目的も理解できなくもないが、色々な作用を考えた際に必ずとも得策であったかどうかには疑問が残るところである。

まとめ

「ポケモンか?妖怪ウッチか?」は簡単に比べられるものではなく、お互いに強み・弱みがあり、その戦略も異なるのが当然だろう。ただ、今回のスマホAR×位置情報ゲームでの取り組みは、明らかに先行してスタートした『ポケモンGO』が元祖となり、後追いをするのが『妖怪ウォチワールド』となってしまっている現実は紛れもない事実であり、そう感じざる得ない状況だ。

『妖怪ウォッチワールド』は、開始3日で50万ダウンロード、1ヶ月を待たずに100万ダウンロード突破と発表されているが、TVCMなど掛けているプロモーション費用からすると決して安心できる数字というわけではないだろう。ただし勝負タイトルであることは間違いないので、今後の展開に期待したい。

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