働き方改革:ダイバーシティと時短勤務について考える

   

厚生労働省が掲げる「働き方改革」について、1.長時間労働の是正2.雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保について、そして3.柔軟な働き方がしやすい環境整備について述べてきた。今回は、4.ダイバーシティの推進について、ダイバーシティの実現と時短勤務という観点から考えて行こうと思う。

ダイバーシティとは?

ダイバーシティという言葉をご存知だろうか。

働き方改革がうたわれるようになり、ダイバーシティという言葉を様々なメディアで見かけるようになった。日本では、ダイバーシティというと女性の活躍の話題につながることが多いが、ダイバーシティというのは元々は女性限定の話ではない。英語のダイバーシティ(diversity)は、「多様性」と日本語訳される。つまり、性別だけではなく、国籍、人種、宗教、家庭環境、価値観、生活状況など、あらゆることに関する多様性を指しているのだ。

厚生労働省は、ダイバーシティの推進施策として下記の8項目を挙げている。

– 病気の治療と仕事の両立
– 女性が活躍できる環境整備
– 高齢者の就業支援
– 子育て・介護等と仕事の両立
– 障害者就労の推進
– 外国人材の受入れ
– 若者が活躍しやすい環境整備

多様な人々を尊重し合い、すべての人々が充実した毎日を過ごせるのが、理想の社会と言えるだろう。

時短勤務の現状と解決策とは

働き方改革:ダイバーシティと時短勤務について考える1

女性の活躍推進の一環として、育児期間の時短勤務の制度が設けられている。子どもが一定の年齢になるまでは、定時より早く帰宅することができる制度だ。これは育児・介護休業法という法律で定められており、多くの育児中の社員が利用している制度ではあるが、しかし一方で、この制度を利用することにより肩身が狭い思いをしていたり、権利を行使して時短にすることができず結局フルタイムで働かざるをえない人がいたりするのもまた事実である。

理想の時短勤務とは?

育児中の社員は、会社や社会の中で肩身が狭いと感じていることも多い。これは一つには、育児中の社員だけが優遇されているように見えることにも原因があるのではないだろうか。ダイバーシティの実現には、子育て家庭や介護家庭だけでなく、もっと広く社員全員にとって働きやすい環境を作ることが理想だと筆者は考える。

時短勤務の権利を一般社員にも

一般社員にも、子育てと関係なく時短勤務を選べるようにする制度を設けることはできないだろうか。育児や介護といった理由だけでなく、ビジネススクールに通う、大学院に入学してMBAをめざすといった理由にも時短勤務やリモートワークなどを許可すれば、誰もが充実した社会生活を送れるようになるのと同時に、育児中の社員への不公平感もやわらぐだろう。

社員の有休消化率を上げる

日本は、世界的にみて有休消化率の非常に低い国と言われている。有給休暇は認められている制度であるにもかかわらず、多く取得することは良く思われていないというのが日本の現状だ。しかし、育児中の社員は子どもの病気や様々な事情で有給休暇をとることも多く、その業務のしわ寄せが同僚にいくために同僚との間に軋轢が生じることもあるだろう。

それなら、全社員の有給休暇の消化率を90%、100%などに上げたら良いのではないだろうか。育児中の社員が休んだり早退したりするたびに同僚がカバーしていれば、不満が生じるのも無理はないだろう。しかし、全社員が有給休暇をしっかり使って旅行に行ったりプライベートな時間を過ごしたりしていれば、社員全員の生活が充実し、自分が休んだ分を同僚にカバーしてもらうことも増えるためお互いに不満が減っていくのではないだろうか。

周りの目が気になって有給休暇を取りづらい雰囲気があるのなら、部下の有休消化率の高さで上司を評価する制度を作ってしまえば良いだろう。

次回は、賃金引き上げ、労働生産性向上に向けた施策を紹介する。

【参考記事】
厚生労働省「働き方改革の実現に向けて」をもとに作成

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