働き方改革:賃金引き上げ、労働生産性向上に向けた施策

厚生労働省が掲げる「働き方改革」について、1.長時間労働の是正2.雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保について3.柔軟な働き方がしやすい環境整備、そして4.ダイバーシティの推進について述べてきた。今回は、5.賃金引き上げ、労働生産性向上について紹介していこう。

上がり続ける日本の賃金

日本は、主要国のなかでは最低賃金が低い国だと言われている。一方で、日本は今どの業界でも人手不足の状態が続いており、賃金を上げて人を確保しなければならない状況でもある。そのような中、政府は最低賃金の引き上げを進めていくことを決定した。

最低賃金とは?

日本には最低賃金法という法律があり、労働者の最低賃金が定められている。最低賃金は地域別(都道県別)に定められており、たとえば東京都の最低賃金は985円(2018年12月現在)。2017年3月に働き方改革実行計画が閣議決定し、最低賃金は今後も年率3%程度を目安に上昇、最終的には1,000円を目指すことになっている。

最低賃金の引き上げは労働者にとっては歓迎すべきことであるが、一方で企業側にとっては人件費の負担が増えることを意味している。そこで厚生労働省では、いくつかの助成金制度を展開することによって企業のサポートをスタートさせた。

賃金引き上げをサポートする助成金制度

働き方改革:賃金引き上げ、労働生産性向上12

業務改善助成金

業務改善助成金とは、中小企業や小規模事業者に向けて展開されている助成金制度である。業務改善による生産性向上を目的とした設備投資やサービス利用などに対して助成をするもので、たとえば下記のようなものが対象になっている。

<例1>顧客管理システムの導入によって管理効率を上げた
<例2>運搬設備(クレーンなど)の導入によって作業時間の短縮に成功した

システムなどの導入で作業効率を改善することで生産性を上げ、それによって賃金を引き上げるというのがこの制度の目的だ。設備やサービスを導入し、実際に賃金を引き上げた企業に助成金が支給されることになっている。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、非正規雇用労働者のキャリアアップや労働環境改善に対して助成金が支給される制度である。下記のような施策を実施した企業が対象だ。

正社員化

有期契約労働者等を正規雇用労働者に転換、または直接雇用し、なおかつ賃金が5%以上増えていること。なお、勤務地や職務などが限定されていても、正社員であれば対象となる。助成金は対象人数1人あたりで助成金額が定められており、上限は20人と定められている。

賃金規定等改定

有期契約労働者等の賃金を2%増額すること。賃金規定を変え、実際に昇給させた場合に対象となる。中小企業にて3%以上増額した場合にはさらに助成金が加算される。対象人数に応じて助成金額が定められている。

健康診断制度

有期契約労働者等が受けられる健康診断制度を新設し、実際に4人以上の有期契約労働者等が健康診断を受けること。助成金額は、1事業所あたりで定められている。

賃金規定等共通化

有期契約労働者等の賃金規定を、正規雇用労働者と共通で作成し、実際に適用すること。助成金額は、1事業所あたりで定められているもののほかに、対象人数に応じて定められている。

諸手当制度共通化

有期契約労働者等と正規雇用労働者に共通の諸手当制度を設け、実際に適用すること。助成金額は1事業所あたりで定められているもののほかに、対象人数に応じて定められている。

選択的適用拡大導入時 処遇改善

2017年4月から施行された「労使合意に基づく社会保険の適用拡大」に基づき、有期契約を新たに被保険者として基本給を増額すること。助成金額は基本給の増額割合に応じて定められており、上限は30人と定められている。

短時間労働者 労働時間延長

短時間労働者の労働時間を延長し、社会保険を適用すること。週所定労働時間を5時間以上延長した場合に対象人数に応じて助成金額が定められており、上限は15人と定められている。

【参考資料】
厚生労働省「賃金引上げ、労働生産性向上」をもとに作成

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