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蚊に刺されると、肌のかゆみだけでなく、感染症を起こすおそれも
夏はキャンプなどの野外活動が楽しい季節ですが、暑い時期になると蚊が発生しやすくなります。蚊に刺されると、皮膚の刺されたところがかゆくなるだけでなく、蚊を介して感染症を発症するおそれがあるので、たかが「虫刺され」といった油断は禁物です。
蚊の媒介する感染症には、さまざまな種類がありますが、近年、特に取り上げられているのが「デング熱」や「ジカウイルス感染症(ジカ熱)」です。デング熱は、2014年の夏に日本国内での感染例が69年ぶりに確認され、首都圏を中心に160人程度の感染が報告されました。ジカ熱は、2015年頃からブラジルやコロンビアなどの中南米を中心とした国で多数の感染が報告されました。
「虫よけ剤」を上手に使って、蚊を寄せ付けないにしよう
蚊に刺されないようにするには、藪(やぶ)などの蚊がいそうな場所に行くときは、皮膚や衣服に付ける虫よけスプレーなどの「虫よけ剤」を使用することが有効な手段の1つとされています。虫よけ剤には、蚊を寄せ付けないようにする「忌避(きひ)成分」、いわゆる虫よけ成分が含まれています。
虫よけ剤には、スプレータイプやジェルタイプ、シートタイプなど、さまざまな種類のものがあります。虫よけ剤を使用するときは、添付されている説明書の注意書きをよく読んで、従うことが重要です。
虫よけ成分「ディート」とは?
虫よけ剤に配合されている虫よけ成分で、よく知られているのが「ディート(DEET)」です。ディートは、蚊などの虫に対して虫よけに効果を発揮しますが、ごくまれに皮膚炎などを起こす可能性が指摘されています。そのため、厚生労働省では、ディートが含まれる虫よけ剤の使用にあたって、12歳未満の子どもが使用する場合には、保護者の指導監督のもとに「6か月未満の乳児には使用しない」「6か月以上2歳未満は、1日1回の使用にとどめる」「2歳以上12歳未満は、1日1~3回の使用にとどめる」ことを通知しています。
子どもにも使いやすい虫よけ成分「イカリジン」
虫よけ剤に配合されている虫よけ成分には、ディートのほかに海外で広く使われている「イカリジン(ピカリジン)」という成分があります。日本国内でも2016年にイカリジン配合の虫よけ剤が発売されるようになりました。
イカリジンは、ディートのように子どもへの使用制限がありません。そのため、イカリジン配合の虫よけ剤は、子どもから大人まで幅広い年齢で使用しやすいものとされています。
蚊を発生させないために周囲の水たまりを除去・清掃することが大切
蚊は小さな水たまりを好んで卵を産むという性質があるとされており、蚊の発生を減らすには、水がたまりやすい周囲の屋外のバケツやじょうろ、植木鉢の皿、屋外に放置された空き缶・ビン・ペットボトル、古タイヤなどを定期的に除去・清掃することが大切です。
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※この記事は、2018年7月20日現在の情報をもとに作成しています。
【参考資料】
■厚生労働省 ホームページ「蚊媒介感染症」
■厚生労働省 ホームページ「デング熱について」
■厚生労働省 ホームページ「デング熱に関するQ&A」
■厚生労働省 ホームページ「ジカウイルス感染症について」
■厚生労働省 ホームページ「ジカウイルス感染症に関するQ&A」
■国立感染症研究所「蚊媒介感染症の診療ガイドライン 第4版」(2016年12月)