交通事故死よりも多い!冬場に多発する高齢者の入浴中の事故
入浴は、汗を流して体を清潔に保ったり、体が温まったりするだけでなく、リラックス効果も期待できます。湯舟にゆっくりつかることは、お風呂好きの日本人にとって欠かすことのできない習慣となっています。特に冬になると、熱めのお風呂で温まりという人も少なくないのではないでしょうか。
しかし、入浴する際の体の状況や入浴の環境によっては、大きな事故につながる危険があります。入浴中の事故の多くは浴槽で起きており、特に高齢者で多くなっています。
消費者庁が厚生労働省の人口動態統計を基に分析したところ、家や居住施設の浴槽における高齢者の溺死者数は増加傾向で、2016年には4,821 人に上り、2011年以降では交通事故による死亡者数よりも多くなっています。
また、消費者庁が東京消防庁の「救急搬送データ」を基に分析したところ、入浴中に高齢者が溺れる事故は、冬に多い傾向があり、2016年では年間の事故数全体の約7割が11 月から3月にかけて発生しています。
冬の入浴中に起こりやすい事故が「ヒートショック」です。ヒートショックは、冬場の寒い脱衣所や浴室から熱めの浴槽のお湯につかると、急激な温度変化によって血圧が上下に大きく変動するなど体に大きな負荷がかかることで起こります。血圧の急変動などによって失神や心筋梗塞、脳梗塞などが引き起こされ、浴槽内で溺れるケースが多くみられるとされています。持病がない場合や、前兆がない場合でも起こるおそれがあるため、特に高齢者では注意が必要です。
安全に入浴し、ヒートショックを防ぐには?
消費者庁では、冬場、安全に入浴するために特に次の注意点を呼びかけています。参考にして入浴習慣を見直し、ヒートショックを予防しましょう。高齢者では、本人だけでなく家族や周囲の人も注意することが、ヒートショックを防ぐことにつながります。
(1)入浴前に脱衣所や浴室を暖めましょう。
(2)湯温は41℃以下、湯につかる時間は10分までを目安にしましょう。
(3)浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう。
(4)食後すぐの入浴、またアルコールが抜けていない状態での入浴は控えましょう。
(5)精神安定剤、睡眠薬などの服用後の入浴は危険ですので注意しましょう。
(6)入浴する前に同居者に一声掛けて、見回ってもらいましょう。
気温が低い日は特に注意!「ヒートショック予報」を活用しよう
気温が低い日は、特にヒートショックが起こる危険性が高まるため、注意が必要です。
気象庁のホームページなどで気象情報を確認するようにしましょう。
また、日本気象協会では、10~3月ごろの時期に日本各地の「ヒートショック予報」を毎日発表しています。気象予測情報に基づく家の中でのヒートショックのリスクの目安がわかるので、活用してみてはいかがでしょうか。
さらに、ヒートショックに関する正しい理解と対策方法を多くの人に知ってもらうための企業協働で推進する啓発活動「STOP!ヒートショック活動」が行われています。「STOP!ヒートショック」のホームページでは、ヒートショックについてのさまざまな情報が掲載されています。
※この記事は、2018年11月26日現在の情報をもとに作成しています。
【参考資料】
■消費者庁 ホームページ
「みんなで知ろう、防ごう、高齢者の事故」
「冬季に多発する入浴中の事故に御注意ください! -11月26日は「いい風呂」の日- みんなで知ろう、防ごう、高齢者の事故②」(平成30年11月21日)