「確定申告は会社員には関係ない」そう思っていませんか?
確定申告は、1年間の所得金額を計算して納税額を算出し、申告して納める手続きです。一般的な会社員は、源泉徴収や年末調整があるため基本的には確定申告の必要はありません。しかし、条件によっては払いすぎている税金が確定申告で戻ってくることもあります。
では、会社員でも確定申告で税金が還付されるのはどのようなケースなのでしょうか。自分が該当するかどうか、ぜひチェックしてみてください。
確定申告で戻ってくるのはどんな税金?
一般的な会社員の場合、所得税額は次のような計算式で算出されます。
所得税額 = (1年間の給与合計額 – 給与所得控除 – 所得控除)× 税率 – 税額控除
この式から分かる通り、所得税額は、1年間の給与合計額から所定の控除をした金額をベースに計算されます。しかし、給与から毎月源泉徴収されている所得税は所得控除や税額控除を考慮せず計算された金額のため、本来納めるべき税金額より多く納めている場合が多いのです。
納めすぎた税金は、年末調整や確定申告によって還付されます。控除によって、年末調整で申請できるものと、確定申告が必要なものがあります。
控除 | 年末調整で申請 | 確定申告で申請 |
配偶者控除・扶養控除等 | 〇 | 〇 |
社会保険料控除 | 〇 | 〇 |
生命保険料控除 | 〇 | 〇 |
医療費控除 | × | 〇 |
寄附金控除 | × | 〇 |
雑損控除 | × | 〇 |
配当控除 | × | 〇 |
住宅借入金等特別控除 | 2年目以降 ※1年目は確定申告が必要 |
〇 |
※ここに挙げたのは、比較的該当する人の多い控除の例です。その他の控除については、国税庁ホームページなどでご確認ください。
確定申告をした方が良いのはどんな人?
では、確定申告で税金が還付される人、つまり確定申告をした方が良い人とはどのような人なのでしょうか。その条件を見てみましょう。
医療費が一定額を超えている(医療費控除)
1年間に10万円を超える医療費を支払った人は、医療費控除を受けることができます。病院や薬局で発行された領収書は、捨てずに大切に保管しておきましょう。なお、医療費控除は生計を一にする家族全員の金額を合算して計算することができます。
また、2021年3月までの期間限定で「セルフメディケーション税制」という制度が導入されています。「セルフメディケーション税制」とは、薬局やドラッグストアなどで所定の医薬品(スイッチOTC医薬品)を購入した場合に税金が還付される制度のこと。詳しくはこちらのページでご紹介しています。
寄附をした場合(寄付金控除)
国や地方自治体などに2千円を超える金額の寄附をした人は、寄付金控除を受けることができます。なお、地方自治体に寄附をした場合は、ワンストップ特例制度を利用すれば確定申告をすることなく控除を受けることができます(ふるさと納税)。
雑損失がある場合(雑損控除)
災害や犯罪などによって損失が生じた場合、雑損控除を受けることができます。なお、控除の対象になる損失は、次の5種類に当てはまるものに限られます。
- 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
- 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
- 害虫などの生物による異常な災害
- 盗難
- 横領
配当控除
配当控除は、実は比較的多くの人が対象になっている控除だということをご存知でしょうか。
株主が株式の配当を受け取る際には、所得税がかかります。しかし、株式の配当はそもそも法人税課税後の利益が分配されているもの。つまり、配当には所得税と法人税の両方が課税されていることになります。配当控除は、この二重払いの状態を解消するために設けられている控除の制度です。
住宅等を購入・増改築した場合(住宅借入金等特別控除)
住宅借入金等特別控除とは、住宅ローン等を組んで住宅の購入や増改築をした時に、要件を満たしていれば受けることができる控除です。対象になるのは最長10年間で、最初の年に確定申告をすれば、以降は年末調整の時に申請することができます。
まとめ
確定申告をするのは事業主や一部の高額所得者だけだと思い込んでいませんか?会社員でも、確定申告により税金が戻ってくるケースがあります。確定申告は面倒なイメージがあるかもしれませんが、少し頑張れば税金が戻ってきます。自分が該当する要件がないかどうか、ぜひチェックしてみてくださいね。
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【参考資料】
■国税庁 ホームページ
「所得金額から差し引かれる金額(所得控除)」
※この記事は2019年12月現在の情報をもとに作成しています。