ヨーロッパには「知られているヨーロッパ」と「知られていないヨーロッパ」が存在する。この記事で紹介するバルト3国は後者に属するだろう。だがバルト3国は旅人にとって魅力的なところだ。今回はバルト3国のおすすめポイントを紹介したい。
そもそもバルト3国とは
「バルト3国」と聞いてピンと来る読者は少ないのではないだろうか。バルト3国とはバルト海に面する小国、エストニア、ラトビア、リトアニアを指す。いずれも国土は狭く、エストニアとラトビアは北海道の約60%、リトアニアは北海道の約80%しかない。つまりバルト3国を合わせても北海道の2倍くらいだ。
「バルト3国」と一括りにされることが多い3国だが、それぞれカラーは異なっている。最も北に位置するエストニアは民族的にフィンランドに近い。公用語のエストニア語もフィンランド語と同じグループに分類される。フィンランドの首都ヘルシンキとエストニアの首都タリンとは船便で結ばれており、両都市間の所要時間は2時間だ。
ラトビアとリトアニアはバルト系民族に属し、周辺のゲルマン諸国、スラヴ諸国とは異なる。ラトビアとリトアニアは同系民族だが、違いは存在する。ラトビアはドイツ騎士団が支配したこともあり、首都リーガをはじめとしてドイツ風の建築物が多い。一方、リトアニアは独立時代が長かったこともあり、ドイツの雰囲気は感じられない。このようにバルト3国といっても三種三様なのだ。
バルト3国がおすすめな理由1 首都が世界文化遺産に登録されている
バルト3国をおすすめする理由の1点目はそれぞれの首都が世界文化遺産に登録されていることだ。エストニアの首都タリンの旧市街はどこか北欧の雰囲気が感じられる街だ。街並みはドイツ風だが、「ふとっちょマルガレータ」など円形のユニークな建築物も目にとまる。周辺にあるヘルシンキやロシアのサンクトペテルブルクにも近いことから、隣国の都市と見比べるのもおもしろいだろう。
ラトビアの首都リーガはバルト3国の首都の中で最も人口が多く、神戸市とは姉妹都市の関係だ。リーガもドイツ風だが、注目したいのはアールヌーヴォーの建築物が立ち並ぶエリアだ。それぞれの建物には彫刻が施されており、まるで美術館のよう。建築物に関する知識がなくても十分に楽しめる。
一方、リトアニアの首都ヴィリニュスは陸地にある牧歌的な街だ。ここではカトリックやウクライナ・カトリック、ロシア正教など様々な宗派の教会が集まる。また芸術家によってつくられた「ウジュピス共和国」も見逃せない。
それぞれの首都間には快適な高速バスが運行されている。車内ではWiFi設備があり、インターネットが楽しめる。
バルト3国をおすすめする理由2 首都を中心としてユニークな観光スポットに行ける
それぞれの国の面積は小さいので、首都からの日帰り旅行が楽しめる。たとえば、リーガから電車で30分ほど乗ると、バルト海のリゾート地であるユールマラに着く。バルト海は遠浅で日本の海とはまったく異なる。ヨーロッパで海水浴を楽しむのもおもしろいだろう。
ヴィリニュスからはカウナスへの日帰り旅行ができる。カウナスは第二次世界大戦中に多くのユダヤ人を救った杉原千畝氏が働いていたところで知られている。杉原氏が働いていた旧日本領事館は博物館となっており、彼の勇気と戦争の悲惨さが学べる。なおバルト3国の公共交通機関は整備されているので、ヨーロッパを旅慣れていない人でも安心だ。
バルト3国をおすすめする理由3 日本から近い
バルト3国は意外と日本から近い。ヘルシンキ経由のフィンランド航空を使うと以下のとおりになる。
2019年10月1日のダイヤ(調査日は2019年8月27日)
時刻はいずれも現地時間
東京(成田)→タリン 11:00→17:00 所要時間:12時間
東京(成田)→リーガ 11:00→17:20 所要時間:12時間20分
東京(成田)→ヴィリニュス 11:00→17:35 所要時間:12時間35分
2019年8月現在、フィンランド航空は成田空港、中部空港、関西空港、福岡空港に就航している。そのため地方からも行きやすいのがバルト3国の特徴だ。
このようにバルト3国は日本から見ると気軽に行けるヨーロッパだ。ぜひ次の長期休暇のディスティネーションにいれて欲しい。